謎の旅行,オリ合宿

 入学の直後にオリ合宿という旅行(?)のようなものがある.
 だいたい諸手続とかテント列とかの3日後とかにあるのだが,本当に入学前にリサーチしておかないと直前に「オリ合宿あるよ,きて」って言われてスケジュール的に苦しくなる.
 無論,強制参加ではないのだが,ほぼみんな参加する.
 このオリ合宿は上クラ呼ばれる一学年上のクラス(後述)に率いられて,だいたい富士五湖の近くの宿に一泊するものだ.途中で体育館でレクリエーションを行ったりするクラスが多いと聞く.私もそれだった.

 ここでクラスについて簡単に説明する.東大にはクラス(オブジェクト指向ではない)という仕組みかある.これは入学時に選択する第2外国語によって自動的に振り分けられるのだが,一年生と二年生の半期(今はちょっと違うのかな)の他の必修科目も同じクラス(正確にはこれをまた束ねて何クラスにもなる)で受けるのだ.クラス内ではいくつかの役割が割り振られてみんなで協力して五月祭や試験などを乗り切る.よってクラスは大切である.クラスで初めて友達を作る人がほとんどであり,プライベートにとっても重要だ.
 ちなみに1つ上のクラスを上クラ,2つのクラスをジジクラ,1つ下のクラスを下クラなどと呼ぶ.もっとも上下のクラスが関わることなどオリ合宿くらいしかないのだが.

 話を元に戻す.オリ合宿だが,未成年(20歳に満たない者)がほとんどなのでもちろん禁酒だ.それどころかお酒の話をするのも禁止だ.お酒は御法度なのだ.これを徹底するためにオリエンテーション委員会なるものが宿に査察にまでくる.もし飲酒が見つかれば上クラの責任者は退学処分になる(らしい;念書に一筆書いてるとか).
 私が入学する少し前に,あるテニスサークルで酒が原因で死者がでたのだ.この事件についてはセンセーショナルなので詳しく書かないが,これによって東大当局が急に締め付けを厳しくしたのだ.
 冷静に考えてほしい.理科一類というのは女子が多くても4人しかいないのだ.私のクラスは3人だった.残りの30人余りは全員男だ.このほとんど男の集団,皆ほぼ初対面なのだ.この知らない人たち同士が体育館でレクリエーションをしているのだ.どれだけ不可解で奇異なことか想像に難くないはずだ.酒を飲まずに初対面の人間たちと何を話すのだ?もっとも,未成年なので酒は飲んではいけないし,当時は飲もうとも思わなかったが.
 上クラの男はいわゆるワンチャンを狙うことがあるらしい.下クラの女子に手を出そうとするのだ.もちろん読者が期待するであろう,オリ合宿で○○した,とかそういう破廉恥ことは私は聞いたことがないのでそういうことではない.女に飢えた理科一類の男子ならそういうワンチャン狙いもしたくなるのだろうが,これをやると上クラからも下クラからも白い目で見られるらしい(友達から聞いた).特に下クラからはなけなしの僅かな同クラ女子をどこの馬の骨ともわからん上クラの男がとっていこうとしたら盗人とでも思いたくもなるのだろう.
 そういうわけでオリ合宿ではなかなかモテるのだ.男がワラワラと寄ってくるのだ.別にマウントをとっているわけでもひけらかしているわけでもない.構造として仕方ないのだ.別に私でなくとも東大女子ならみんなそうだ.
 奇異なオリ合宿ではあるが,履修の相談やらなんやらしてるうちに寝る時間になり,なんだかんだ楽しく日程を終えて,いよいよ授業期間が始まるのだ.

東大の入学手続きの後のテント列

 東大に合格したあと,入学のための書類が山のようにくる.これに色々記入したりお金払ったりして「諸手続き」というやつに行く.ここで学生証やらもらったり生協に加盟したりとかそういうのをやる.確か駒場キャンパスの1号館だったと思う.

 これがおわると「テント列」という独特の文化に出くわす.テント列というのは様々なサークルや部活がテントを順番に並べて一筋の道を形成するものだ.このテント列は全長数百mほどもあるが,基本的に全員強制参加である(理科三類は別ルートがあるし,嫌ならどうにかして脱出できるはず).このテント列では道やテントに上級生と新入生が入り乱れまるで満員電車状態だ.

 初っ端にゴツイ運動会(いわゆる部活)のテントが並んでいる.ここでほとんどの新入生が上級生に捕まえられテントの中に設置されているブースに座らせられてお話をする.当然ほとんどの新入生が運動会にはいるわけないのだが,強引な勧誘が行われ,メールアドレスを紙に書かされ,それで解放される.テントをでるとまた次の運動会が現れ同じことを行うのだ.

 運動会の集団を抜けると他のサークル群も現れ,似たようなことをするが,幾分か勧誘の強引さは緩くなる.新入生もかわし方を覚えてくるので最後の方は消化試合のようなものだ.

 結局テント列を抜けるのは平均でだいたい2時間くらいのものだ.長い人だと半日そこで時間をつぶす人もいるし,タイムアタックみたいにできるだけ早く抜けようと試みて30分とかで出てくる人もいる.

 テント列は押し合いへし合いをする満員電車のようなものだ.誰がどこを触っていようとバレようがない.ところがそこは東大生,そういう悪いことはしないのだ.ハロウィンの渋谷のようなことにはならない(少なくとも表沙汰にはなっていない).私も幸いそういうことはなかった.

 この時とにかく新入生はお客様だ.とてももてなされる.女子は特にもてなされる.どこもかしこも女子は欲しいのだ.女の子がいるところに男も女も集まるのは人間の性だ.みんなあの手この手で自分のサークルに入れようとする.

 上級生たちはしきりに「女子のコミュニティ」の大切さを説く.当然だ.理科一類ではクラス(クラスについては今度書く)に女子の数など多くて4人だ.ここでコミュニティが行き詰まるとおしまいだ.「女子がたくさんいるサークルだよ」,などと勧誘をかけてくる.そういう直接的な勧誘は男子にはしないのだろうか.みんなのズボンがテント列になってしまうのだろうか.

 何はともあれリスクヘッジは大切だ.コミュニティをいくつか保持しておくに越したことはない.私はテント列でクソの役にも立たない大変有用な情報を得て,テント列を後にしたのだ.

東大入試・入学

 私は,いわゆる中高一貫の有名私立女子校といわれるところの出身だ.周りはだいたい富裕層で頭もいい.

 しかし,その周囲の人間の頭がいいと思っていたのは高校までだ.東大にはわけわかんないほど頭がいい人間が存在する.東大というのはすごいところだ.今にしてみれば高校時代の同期のほどんどは確かに世間一般から見れば賢いのだが,そこまで崇めるものでもないようだ.

 なんだかんだで東大に入った.受験期のことはあんまり覚えていない.5年も前のことだ.楽しくなかったことしか覚えていない.酒も飲まずによくあんなに単調な生活が送れたものだ.

 入試というのは簡単だ.聞かれたことに素直に答えるだけだ.勉強方法とか書いてイキるのは好きじゃないから書かない.あとちゃんと願書を提出するのが肝心だ.これを忘れてしまうと1年間のアディショナルタイムが発生する.なんだかんだあって東大の入試はクリアしたのだ.これで私も東大生である.

 ちなみに当時の合格発表は本郷キャンパスの張り出しがなかったから,インターネットで見るという形式だった.最近図書館かなんかの工事が終わって張り出しが復活したらしいが,インターネットでいいじゃないか.あのせいで人が大学にいっぱいくるのが邪魔なのだ.正確には近所のご飯屋と生協が混むのが嫌なのだ.張り出すのもお金がかかるんだ.税金なめるなちなみに私は扶養家族なので,税金(直接税)は納めていない

 とりあえず私は東大の入試に合格して東大生になる権利を得て,入学手続きをきちんとした.馬鹿みたいに書類を書いたのは覚えている.謎のお金とかいくらか取られたが,騒いでも仕方ない(仕方あることもあるらしい,これについては今度書くかも;詳しくは最寄りの東大生に体育会費云々について聞いて欲しい)し,何より当時はよくわからなかった.

 次は入学手続きの直後にあるテント列という,むさくるしい男たちが群がる文化(テントって下ネタなのかな)についてと,オリ合宿(謎の旅行)とかについて書くと思う.

はじめに

私は東京大学大学院の修士1年の学生だ[要出典].女だ[要出典]

気づけば大学に5年も在籍し,あと1年で大学を出るつもりなので,いろいろと思い出しながらこれまでのことを書いていくことにした.

東大の女子,それも工学部(工学系研究科)というのは珍しい.専攻まで書くとそれはもう誰なのかもうバレるので書けない.

ちなみによく大学外の人に言われるが「『,』や『.』はなんだ,『、』や『。』ではないのか」というコメントについては,私のPCがそういう設定にしてあるから仕方ないのだ.およそ理系の学生,特に4年生以上の研究室に配属され,研究を始めている学生の多くはその設定にしていると思う.気にしないでほしい.

私は別に超美人でもないし,きわめて頭がいいわけでもない.だが,自分で言ってはアレだがそこそこの顔ではある[要出典]し,東大の入試を突破するくらいの脳みそはあるもっとも,東大の入試などサルでも解けると個人的には思う.それ故,女子の少ない環境下ではそこそこにモテたし,そこそこに遊んではいたのだ.

 私はそれらについて思い出しながらまた多少なりとも脚色を加えながら,これから気の向いたときに更新していけたらと思う.

 最後に,このブログの内容すべてについて正確性を保証しませんし,直接・間接を問わず,このブログによって生じるいかなる損害も私の知ったところではありません.