サークルの合宿(2)

  すこし間があいてしまった.東大生は真面目で勤勉でコツコツと積み重ねができるというのは偏見に過ぎない.現に私はたかがブログの更新すらコツコツとできないのだ.東大生のノートは必ず美しい,みたいのも流行ったことがあったが,あんなものは偏見どころか嘘でしかない.だが,あれをありがたがって購入する頭のよくない素直な国民がたくさんいるのだから商売としては正しいのだろう.天才は字が汚いというが,あれも定性的な議論ではないし,つまるところ東大には字やノートがきれいな人も汚い人もいるという何でもないことしか言えないのだ.

 話がそれたが,合宿のコンパについて述べたい.というか広く意見を集めたいことがあるのだが,これを公然というのははばかられることだ.

 今回の話題は化粧のことである.合宿では夕方に宿に帰ってきてご飯を食べてコンパという流れになる.その帰ってきてからコンパが始まる前に順番にお風呂に入る.このときに化粧を落とすのだ.昼間に運動しているが,これは化粧はしている.そんなどろどろになるほど動くつもりもないのだ.文化系のサークルも同じだ.

 さて,具体例に即して話したい.夕方に宿に戻ってきたものの,すこし時間がなくてお風呂に入れずに夕飯の時間になってしまった.そこでご飯を食べて,部屋に戻る.今19時半だ.コンパは21時に始まる.この間にお風呂に入るのだ.私は化粧を落としてお風呂につかる.広々としていて快適だ.いまごろ男湯は混雑しているのだろう(東大のサークルはなべて男のほうが多いので風呂も混雑するらしい,東大のいいところはトイレや風呂が女子のほうが混まないところだ).いいお湯だった.私はバスタオルで体をふき,ちょっとラフな服を着てすっぴんのまま部屋に帰る.

 気づけば20時半だ.あと30分でコンパが始まる.ここである葛藤が生じるのだ.はたして化粧をするべきなのか?お風呂に入ったしすっぴんでいいか?でも人前にでるしお化粧をするべきか?これは非常に悩むところだ.

 後になって他の人から聞くところによるとどちらもあるらしいが,私は化粧をしなかった.そもそも東大にはお化粧をしない女子もいるのである.まあいいかーという気持ちとちょっとドキドキ感を味わいたかったのだろう(ちなみに何年か経つとマジでどうでもよくなる.ババアになるのだ.).これが東大女子の入れない,東大男子と他大女子のみのインカレテニサーとかだと,かわいいモフモフのピンクのパーカーをきて,お風呂上がりにも関わらずがっつりお化粧をするのだろうか?知らないので知ってる方は情報提供していただきたい.

 同室の女子に「化粧するー?」と聞いたのだが「え?しないでしょ面倒くさい」って言われたのを覚えている.東大女子は強い.他のサークルは違うのかもしれないし,もっとキラキラしたところは違うのだろうが.

 それでも東大の男はすっぴんとすっぴんではない状態の区別もつかない人が多いので問題はないのだと,後になって気づいたが,何が正解なのだろうか.

サークルの合宿(1)

 サークルには合宿というのがある.サークルの多くは夏休みと春休みに行うが,それに加えて5~6月に新歓合宿といったものなどを行うところも多い.私のサークルもそれがあり,1年生のときに初めてのサークルの合宿ということで胸を膨らませて参加したのだ.

 結論としては楽しかった.長期休みの合宿とは違い,土日を使って合宿を行うだけなので,1泊2日の簡易的なものだ.朝早く集合し,バスに乗り込み,合宿場に向かう.到着すると運動できるコートで練習をし,お風呂に入り,コンパをし,朝起きてまた練習をして,バスで帰るのだ.

 いわゆる「ヤリサー」というものの存在を直接確認したことがないのだが,もちろん私のサークルもそういう風俗的によくないことは起こらない.というか信じられない.ヤリサーというものが実際に存在するのであれば,サークルの合宿でそういうことするってどういう神経をしているのか.そんなにヤりたければ宿にタクシーを呼んで2人(人によっては3人以上?)で抜け出してラブホでもいけばいいのだ.

 ただ,酒は飲む.といっても飲ませたりすることはなく,勝手に飲んでるだけだ.飲みたい人間が自主的にコールや飲みゲーというやつでドンチャン騒ぎをしているのだ.そもそもとして合宿の主たる目的はコンパであるという認識の人間が多いのではないだろうか(個人の意見).

 このコンパに行くといよいよ「自分は大学生してるな~」という気持ちになる.ザ・大学生だ.そしてこのころから男女関係も面白くなってくる.いよいよ大学生だ.1女を狙う上級生もたくさんいるし,人々の間の会話もだんだんと色恋沙汰に関することが増えてくる.

 3男マジックという言葉がある.1女からみて,3男は同期の男などよりも頼りがいがあってかっこよく見えるので,3男と1女がくっつくというやつだ.一般的には3男に対して批判的な論評が加えられることが多いと思う.3男マジックについては概念としては正しいと思う.確かにその状況というのは発生する.しかし3男であって彼女がいないという場合,たまたま前の彼女と別れてしまったあとのいい男か,2年間そういうことに縁がなかったあまりいいとはいえない男か,の2種類が多い.もっとも,東大という特性上,いい男であっても周りに女が少なすぎていい出会いがなかっただけのいい男もいるにはいるのだが,ケースとしてはあまり多くない.つまり,3男マジックが成功することはあまりないというのが個人的な感想だ.

 サークルの合宿のコンパというのは長い時間いろんな人と話すのであるから,男女関係も発展しやすい.ここはひとつ大きな転換点であると思う.このコンパについて次回書く.

東大の入学式とクラコン

 東京大学というのは変なところだ.入学式を日本武道館で行う.日本武道館は武道というよりはむしろ一般的には色んなアーティストがライブとかやってるイメージだ.
 そして,さらに変なのは入学式授業が始まって一週間くらいしてから行われる点だ.もはや入学といった感じではない.なんで4月の初旬に行わないのだろう.
 入学式はつまらない.良いことは言っていると思うが,まあそんなに期待していかない方がいい.混んでるし暇だ.というか暇すぎてあんまり覚えてない.
 入学式の夜にクラコン(クラスのコンパ)があった気がする.初めてのクラコンだった.昼間はだいたい地方から来た学生の家族が入学式にやってきて一緒に写真をとったりご飯を食べたりする人がいるが,その後の夜にコンパを行うのだ.無論夜も家族と過ごす学生もいるので,クラコンに全員は集まらない.まだみんなお酒を飲もうという感じではまるでないので,オレンジジュースを飲みながら鍋をつついていた.
 今思えば当時はみんなウブだった.私もそうだ.男子に対する耐性がなかったし,男子もまた女子に対する耐性はなかった.もっとも女子は周りが男子だらけなのですぐに耐性がつくが.クラコンでは男子にかこまれて授業とかサークルとか高校の話などをして過ごしたのだと思う.一方で,イキってる男子もいて,「俺男子校だけど彼女いるからー!」などと,誰も聞いていない情報を声高に叫ぶ者もいる.とりあえずウブなのだ.そういうのを大学デビューというんだっけか.もうそういう言語体系を忘れてしまった.
 入学式の時には最初の一週間が終わっているので,授業の履修はほとんど決まっている.あとは撤退するかどうかを決めるだけだ.追いだし(説明は省く;今はないんだっけ?復活したんだっけ?知らない~)とかそういうのも考えつつ大学にいき,サークルを決めてゴールデンウイークに突入する.そしてゴールデンウイークをあけると,授業をサボったり,恋をしたり,バイトを始めたり,もうすっかり大学生みたいな感じになってくるのだ.

サークル選び(3)

 そういえば,なんだかサークルの全体のLINEやTwitterがうるさいとおもっていたら,今丁度新入生が入学する時期だった.新歓が始まって在学生はその対応に追われているのだ.新入生はこれから期待に胸を膨らませて大学に入学するのだろう.大いに学生生活を楽しんでほしい.少なくとも高校生の頃よりは自由もあってたのしいはずだ.

 私の入った2つのサークルはどちらもいたって普通の新歓だった.サークルの体験会のようなものがあり,そのあと食事会に行くのだ.食事会といってもファミレスのようなものだ(もし良いお店とかだったら上級生の財布が空になる).そこで話す…のだが,コミュ障ばかりで話すことがない勉強に関して熱心な東大生たちは授業何を履修してるとか,この授業が楽だとか,入試の点数の開示はまだか,だとか,開示されたらされたで何点だった,みたいな話ばかりしていたような気がする.要するに話すことがないのだ.これは新入生はともかく,上級生がキツい.何か話さないと,と思うんだけども「彼氏・彼女はいるの?」などと聞くのは野暮だし,結局無難なところに落ち着く.結局初対面の人とお酒も飲まずに好きに話せ,といわれても難しいのが実情だ.

 であるから,新入生も,テント列やら,新歓やら,メーリス(今も使ってるのかな~メーリス全体に返信するうっかりさんをよく見かけたものだ)やらでいろいろ思うところもあると思うが,上級生も大変なので大目に見てあげてほしいし,さらに上の学年の人たち(老害)は新歓につかれる後輩たちを労わってあげられるといいな,と思う.

 さて,サークルに入ると,その内部で恋人ができやすい.夏くらいには一巡した感もでてくると個人的な肌感がある.東大女子には「イチョウ伝説」(だった気がする)なるものがあり,駒場キャンパスのイチョウの木の葉が全部落ちる前(要するに1年生の秋まで)に恋人ができないと,在学中ずっと恋人ができない,というやつだ.言い出した人間は意地が悪いとしか思えないが,この言説は大筋ではあっていると思う.実際大方の女子はそれまでに彼氏をつくる.なんならクリスマスは2人目の彼氏というクソビッチ猛者もいる.

 私も結果から言えば1年生の秋までに彼氏はできた.男女比から考えて当然の結果である.大体の東大女子は彼氏ができる.そうでなければ相当な変わり者か,あえて作っていないだけである.もっともこの彼氏というものが相当な曲者だったのだが…(続く)

サークル選び(2)

 運動系のサークルと文化系のサークルを兼サーすることになった.どちらもその内容にはあまり書かないが,そこまで派手なサークルではない.世にいう「ヤリサー」だとか「飲みサー」だとかそういう類のサークルは少なくとも東大にはほとんどないと思う.割と,これだけ大学や社会から厳しい目のある現在においては過去の産物であり,かつもはや空想上の産物ですらあるのかもしれない.

 話はそれるが,飲まされて救急車騒ぎ,だとかそういう系の事件などは聞かない.大学生の飲酒にまつわる事件が社会問題化したことで,今では入学時や長期休みの前後できちんと大学当局からの注意喚起が行われている.その成果もあってか,いまではほとんど新歓の時期に表立って酒飲んではしゃぐというのはみられなくなっていると思う.少なくとも東大で普通に生活していて,酒を断れない,だとかそういう危険な目にあうことは,ほとんどないと言っていい.

 私のサークルもどちらも酒をあまり飲まない.合宿やイベントごとの打ち上げなどではたくさん飲むし,独特のコールのようなものもあるが,そういうときだけである.それもそこまで危険なものではないし,ダメそうだったら普通にみんな自制したり止めたりする.そういう意味では非常に安全になっているのだ.

 話を戻す.私の属したサークルも男女比率の偏りは例外ではない.無論理科一類の比率の偏りほどではないのだが,やはり男が多い.それは仕方のないことだろう.女子としては自分が大切にされるということであるから悪いことばかりではないはずだと受け入れるしかない.男にとっては大変かわいそうなことなので,本当にかわいそうだと思うし,非常にかわいそうだ.

 本拠地は駒場だ.というか大体のサークルの拠点は駒場だ.東大の独特な面でもあると思うが,二年生後半若しくは三年生でほとんどの人は本郷に所属が変わるのでこのせいで三年生はサークルに参加しづらくなる.だからサークルに現役バリバリで参加できるのは最初の二年間であるのが通例らしい.もっとも本郷拠点のサークルもあるし,インカレなどに入ればそうでもないが.

 さて,大学生というか若い人というのは,だいたい関心ごとが一個に決まっていると考えている.恋愛だ.みんな恋愛というか男女の話が大好きだ.私もその一人だ.私は女子高出身だったし彼氏もいなかったので,やはりサークルには多いに期待をよせていた.結果として私は彼氏をサークルで…といいたいところだが,なかなか複雑なところがあるのでそこについてはこれから書いていきたい.

サークル選び

 入学と同時にサークル選びをする.先日テント列について書いたが,新学期開始と同時に新歓が行われる.連日ビラが配られ,立て看板が並び,体験イベントや食事会などが催される.
 サークル選びは大切だ.基本的にはコミュニティというのはサークルが中心に回る.クラスも大事だがクラスは一年半で解散するし,つながりも強くない.私はサークル選びを慎重に行うことにした.
 一部の横柄な有力なサークルを除いて一年生は重宝される.手取り足取りやってくれるのだ.ご飯も多くの場合タダだ.四月の間,入る気もないサークルをめぐってついには夕飯代をタダにしようとする猛者もいる.
 女子はさらに重宝される.先輩女子などが総動員され(自分が新歓をやって知ったのだが)て女子をもてなす.女子会などが開かれることなども珍しくない.女子の少ない東大において,どこも女子は貴重なのだ.
 私もいくつかのサークルに目星をつけて新歓に行った.後輩たちにアドバイスするとすればいくつものサークルに行くといいと思う.サークルを選ぶのは今のうちだ.特に女子はあとから参加はしにくい.
 ちなみに東大は女子大などとのインカレとして活動するサークルが少なくない.そしてそういうサークルのうちテニサーなどは東大女子の入会を拒否している場合があるので注意されたい.なんとなく腑に落ちないが私を求めるサークルは他に星の数ほどあると思って納得してほしい.
 私は最終的に運動系のサークルと文化系のサークルを兼サーすることにした.結果的には兼サーはしたほうがいい.片方のサークルにいかなくなってもコミュニティが無くならないからだ.リスクヘッジだ.
 とりあえず私はサークルを決めて適当なサークル生活を始めることにしたのだ.だが,これは本当に慎重に決めた方がいいと新入生諸君には言っておきたい.

東大の授業開始

 東大の授業が始まった.基本的には何の合図もお知らせもなく勝手に授業が始まる.履修の手引きというルールブックとシラバス(分厚いので持ち運べるシロモノではない)というカタログの2つとにらめっこして履修を決める.
この履修を決める際にもう一つ役に立つものがある.「逆評定」だ.これは時代錯誤社というサークルが300円で発行している,様々な授業や教員について評価を行っている情報冊子だ.膨大な数が開講される駒場の前期教養課程で,その一つ一つの情報を学生たちからアンケートなどで収集し,まとめた上で公開しているのだ.
この逆評定をみて,楽そうな選択科目を選んだり,必修科目の授業にどれほどの労力を割くのかを決めるのだ.気にする教員は自分が逆評定にどのように掲載されているか確認するという.

 理科一類では必修科目がなんだかんだ多い(と当時は思っていた)ので,自動的に時間割が埋まる.あとは適当に総合科目をとるだけだ.

 前期教養課程の授業はつまらない.これはほぼ事実だ.そして運の要素が多い.後期課程への進学振分け(今度書く;今は進学選択として名前も制度も変わっているが,未だに進振りと略されている)には前期教養課程の点数が使用されるが,この点数は各教員によってマチマチだ.必修科目で厳しい教員にあたるとどうしようもない.これはクソ制度だ.

 正直前期教養課程に使った一年半はもったいなかった.あの一年半はなんだったのか.授業の内容などほぼ覚えていない.東大は前期教養課程で広く学識を深めて,その上で自分の専門を決めることができる,などと触れ込んでいるが,半分嘘だ.確かに高校生の段階で自分の専門を決めるのはある意味酷であって,大学生になってから決められるのは大いに意義深い.しかし一方で,広く学識を深めることはないし,理系として必要な基礎的な数理科学や物理学や化学の知識や素養があまり身につかずに一年半を過ごす.これは明らかに異常なことである.

 ということで,私はバイトとサークルに時間を溶かして前期教養課程を適当に修了した.今度からそれらについて書きたい.