東大の授業開始

 東大の授業が始まった.基本的には何の合図もお知らせもなく勝手に授業が始まる.履修の手引きというルールブックとシラバス(分厚いので持ち運べるシロモノではない)というカタログの2つとにらめっこして履修を決める.
この履修を決める際にもう一つ役に立つものがある.「逆評定」だ.これは時代錯誤社というサークルが300円で発行している,様々な授業や教員について評価を行っている情報冊子だ.膨大な数が開講される駒場の前期教養課程で,その一つ一つの情報を学生たちからアンケートなどで収集し,まとめた上で公開しているのだ.
この逆評定をみて,楽そうな選択科目を選んだり,必修科目の授業にどれほどの労力を割くのかを決めるのだ.気にする教員は自分が逆評定にどのように掲載されているか確認するという.

 理科一類では必修科目がなんだかんだ多い(と当時は思っていた)ので,自動的に時間割が埋まる.あとは適当に総合科目をとるだけだ.

 前期教養課程の授業はつまらない.これはほぼ事実だ.そして運の要素が多い.後期課程への進学振分け(今度書く;今は進学選択として名前も制度も変わっているが,未だに進振りと略されている)には前期教養課程の点数が使用されるが,この点数は各教員によってマチマチだ.必修科目で厳しい教員にあたるとどうしようもない.これはクソ制度だ.

 正直前期教養課程に使った一年半はもったいなかった.あの一年半はなんだったのか.授業の内容などほぼ覚えていない.東大は前期教養課程で広く学識を深めて,その上で自分の専門を決めることができる,などと触れ込んでいるが,半分嘘だ.確かに高校生の段階で自分の専門を決めるのはある意味酷であって,大学生になってから決められるのは大いに意義深い.しかし一方で,広く学識を深めることはないし,理系として必要な基礎的な数理科学や物理学や化学の知識や素養があまり身につかずに一年半を過ごす.これは明らかに異常なことである.

 ということで,私はバイトとサークルに時間を溶かして前期教養課程を適当に修了した.今度からそれらについて書きたい.